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zoom RSS 巻き舌の奇跡

<<   作成日時 : 2011/05/27 09:19   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 37 / トラックバック 5 / コメント 14



 今日は昔話をしましょう。それはかれこれ三むかし前のこと、週に一度、ロシア語をならっていました。


 まだ習いたてのある日、先生が「来週までに巻き舌ができるようなってきなさい」とおっしゃいました。

 「えー、巻き舌って、練習したからってできるようになるものなのー??」 と、クラス内は騒然。その時点で巻き舌ができる人はほとんどいませんでした。

 でも先生曰く、「いや、できる。練習すれば、誰でも必ず一週間以内にできるようになります。いままでわたしの生徒で巻き舌が一週間でできなかった者は一人もいなかった。逆に言えば、一週間でできるようにならないのは、努力が足りないということ。そんな生徒は、このクラスにはいりません! 必ず来週までに巻き舌をマスターしてらっしゃい」。・・・とっても厳しい先生だったんです。

 でもそこまで言われたら、頑張るしかない。破門されたくはないですからね。

 「ほんとに一週間でできるようになるのかなー? 個人差とかないのかなあ?」と一抹の不安を感じつつ、さっそく、授業を終えたその瞬間から、友達といっしょに「R音の巻き舌」の練習を開始しました。歩きながら「トゥルルル・・・」、電車の中でも口の中で「トゥルルル・・・」、帰宅して鏡の前で「トゥルルル・・・」。

 翌日も、朝起きてから夜寝るまで、ヒマさえあれば「トゥルルルルル・・・」とやっていました。誰かが「《サッポロ・ラーメンの大盛り》って言って練習するといいよ」と教えてくれたので、それもやった。とにかく電車の中でも、歩きながら、学校の授業中も(?)、とにかく四六時中、口の中で「サッポラーメンの大盛」と唱えました。起きている間はずっとやってた。

 とにかく必死でした。先生に「巻き舌ができないようなヤツは教室から出て行てけ」なんて言われて恥をかきたくなかったのと、それに好奇心も手伝って。試してみたかったんです。本当に一週間でできるようになるかのかどうか。今はピクリとも動かないこの舌が、本当に一週間以内に震えるようになるのだろうか。その奇跡を一刻も早く体験してみたくて、それでいつになく熱心に取り組みました。





 ・・・で、一週間後、できるようになったかって・・・?






 それがね、ならなかったんです。

 でも、毎日「全然できるようにならないね」ってぼやき合っていた友達は、次の授業の前日くらいに突然、舌が回るようになりました。

 取り残されたわたしはもう、焦りまくり!! わたしもなんとかして明日までに、と思い、それまで以上に熱を入れて頑張りましたがダメでした。わたしの舌はピクリともしなかった。



 それでも授業には行きました。「こんなに頑張ったのに、できるようにならなかったじゃないか!」と先生に抗議したかったんです。努力が足りないなんて、言わせない。精一杯努力したことだけには自信があったから、わたしには抗議する権利があると思いました。



 でも実際、授業で先生の怖い顔をみたら、とてもそんな抗議はできなかった・・・。

 授業では順番にひとりづつ、「トゥルルルルル・・・」と言わせられました。できない場合はなんどか言ってみて、一度でも舌が震えればOK。先生は小さく頷きながら、次々と生徒に言わせていきました。程度の差はありましたが、みんな少しは舌が動くようになっていました。一週間前は全然できなかったのに・・・。



 わたしはといえば、自分の番を待つ間、凍りついていました。

 「なによ、『一週間で必ずできる』なんてヘンな気を持たせて!!」という先生に対する憤りは、ほかのみんなは出来るらしいと知った途端、恐怖に変わりました。怒りでほかほかしていた体温が一気に下がり、自分の体がミシミシと音を立てて凍りついていくのがよく分かった。わたしが一人でいくら「頑張ったのにできなかった」と言っても、信じてもらえそうもない・・・。体がこわばるような恐怖と、そして言いようのない深い孤独をおぼえました。



 ついにわたしの番。先生の前でだけ言えるなんていう奇跡は起こりませんでした。先生は何もいわず、無表情にわたしの番をスルーしました。

 先生はわたしを教室からほっぽり出しませんでした。叱りもしなかった。わたしは心の底からホッとし、同時に心の底からがっかりしました。もし「練習しなかったのか」と責められたら、「いいえ、すごく頑張りました!」と食ってかかれたのに、わたしには弁明のチャンスも与えられなかった。先生は静かに心の奥で、「あれだけ言ったのに、それでも練習してこないヤツがいる」と呆れたかもしれない。



 それでもわたしは巻き舌の練習を続けました。というか、もうクセになっていたんです。四六時中、「トゥルルルルル・・・」って言っているのが。

 それに、意地になってもいた。「来週こそ、絶対先生に抗議してやる。一週間どころか、二週間練習しても、できないじゃないか」って。人には個人差というものがあって、みんなができることができない人も、たまにはいるんだ、ってことを、先生に教えてやりたかった。

 最初の一週間は、できるようになるための練習でしたが、次の一週間は、「いくら頑張ってもできない」と証明するための練習でした。



 ところが。数日したある日のこと。突然、舌がわずかに震える感覚を覚え、なんどか繰り返すうちに、見事な巻き舌になりました。

 不思議でした。本当に、不思議な感覚でした。自分の身に起こった奇跡をしばらく信じることができませんでした。不思議で不思議で、夢中になって練習し続けました。

 一度できるようになると、練習すれば練習するほどうまくなる。2日も経つ頃には「ルルルルルルルルルルルル〜〜〜〜〜〜〜」と、息が続く限り、何十秒でも続けて言っていられるようになりました。


 わたしは、自分の身に起こった奇跡がいとおしくてたまらなかったけれど、同時に非常に悔しくもあった。だって結局、わたしも「できちゃった」んですから。一週間ではなかったけれど、二週間でできてしまった。結局わたしは、「いくら頑張ってもできない」証明ができなかったわけで・・・。それが、悔しくて悔しくてたまらなかったです。



 そんなわけで巻き舌はなんとかクリアしました。でもけっきょくロシア語は長続きしませんでした。遠い教室まで1年半頑張って通ったけれど、中級進級試験の成績が悪く、先生に再度初級の受講を勧められたのにガックリしてやめてしまったのです。みんなが中級に行くのに、自分だけまた初級をやり直すなんていやだった。でも一緒に中級に進んでついていかれる自信もなかった。それで辞めました。

 でもね、巻き舌だって人の二倍かかったのだから、何もかも全部、人の倍かかると覚悟して初級をやり直せばよかったのに、と今にして思います。

 当時まだ十代だったわたしにとって一年という時間はとても長く、初級のやり直しはとても許容できなかった。でも人生も半ばすぎてみると、一年という時間は「たった一年」と感じる。



 とはいえ期間に関係なく、人より遅れをとることの辛さ、認め難さは今も同じ。おととしアラビア語を習っていた時も、落第が死ぬほど怖かった。



 長く生きてても、進歩がないですねえ・・・。




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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
巻き舌、、、練習ですか、、、成人になった体の一部を今までと違うように鍛えるのは、とても大変だったことと思います。
でも、できちゃった、、、というのがこの場合は、またなんとも複雑な感情ですよね。。。
人より遅れをとることの辛さ、、分かります。私はフランス語のクラスを事情があって変更したんです。そうしたら、今までいたクラスより遅れてしまって。。。
今更仕方ないんですが、心のどこかで、自分の実力は棚に上げて、いつまでも悔しがっている自分がいます。
kyoko
URL
2011/05/27 21:56
kyokoさん、コメントありがとうございます。

>できちゃった、、、というのがこの場合は、またなんとも複雑な感情
ですよね。。。
そこ、理解してくださって嬉しい^^。
いくらやっても出来なかったなら、それはそれで特異体質としての独自性を発揮できたのでしょうが、結局出来ちゃいましたからねー。たった2週間で。

こんなに失望や恐怖や孤独感を感じたにもかかわらず、人から見れば一週間も二週間も変わらない。「結局できるようになったんでしょ? よかったじゃない」の一言で片づけられてしまうのが、どうも腑に落ちないですね〜。

まあでも実際、一週間も二週間も大して変わりはなく、一年と二年も大した変わりはない。だから人と比べて遅れるだの何だの気にする必要なんて、どこにもないんですけどねー。それが分かっているのに、なぜ悔しがってみたりジタバタしてみたりするのか。

・・・謎ですね(笑)。
うさぎ
2011/05/27 22:47
えぇぇ〜っ(?_?)
巻き舌って、練習したら出来るものなの??
私、絶対ムリ!って諦めてましたよ..アラビア語でもLとRの区別が出来なくて、クルアーン愛好者としては、そこがネックだったのに..
そういえば、私は出来ない!って、ハナから諦めて、練習というものをしたことなかったわ(-.-;)
いいコト聞いたわ。こりゃ、早速練習せねば。トゥルルルル〜♪♪
じゃみーら
2011/05/28 01:00
じゃみーらさん、コメントありがとう〜^^。

>私、絶対ムリ!って諦めてましたよ..
え、そうなの?!
じゃあさっそくやってみて!

わたしもいろいろあったけど、巻き舌は一度できるようになると一生モノだし、ロシア語、アラビア語のほかにもフィンランド語とか、いろんな言葉で使えて便利よ〜^^。
うさぎ
2011/05/28 07:30
最近、英語の発音矯正にはまっています。英国人、米国人、2人の先生が共通して、おっしゃるにはRはまかなくていいとのこと…。アラビア語の話ではありません。あくまで英語。実は、英語の発音きちんと勉強したことがなかったので、目からうろこ。え?まくと思っていたのは私だけ?舌は力を抜いてダラっとさせ、喉のおくからパッションとともに出すそうです(笑)ショック〜。
カリーマ
2011/05/28 09:02
カリーマさん、コメントありがとう〜!

>え?まくと思っていたのは私だけ?
>舌は力を抜いてダラっとさせ
え?? ええ?
わたしも巻くと思ってた。
巻き舌の「巻く」とは意味が違うけど、でも舌の先が最後ちょっと上に向かない? えっ、違うの??!!

star star star・・・・

やっぱ巻いちゃう^^;。
だって、巻かなかったら、staとstarをどう発音しわければいいの〜??(謎)
ショックだーーー。
うさぎ
2011/05/28 09:20
巻き舌、、、練習したことなかったです。
というのも、小さいころからできてました;;(自慢とかでなく。)
でも小学校の中でも巻き舌ができるのは少なかったのでずっと巻き舌できないのが分からなかったです。
だけど、うさぎさんの記事を読んだらできない人の気持ちがなんとなくわかった気がします。これって巻き舌だけの話じゃなくてなんにでも当てはまるんだろうな〜。やらなきゃできない。ってことなんだろうな〜と思いました。

ちなみに、読んでから巻き舌をやってみました。
なんとなーくやってたのを巻き舌ってなんでできるんだろう?って思いながら意識してやったらできるはずなのに何度か空振りしてしまいました!
意識しすぎてやったらダメですね;wあくまで力を抜いて自然にやらないとできません(笑)
ayumi
2011/05/28 11:53
こんにちは。
巻き舌、おもしろい話題ですね。

私は昔、演劇部に所属していて、最初の課題が「巻き舌」でしたよ。
巻き舌は基本、腹式呼吸→腹筋 だと思いますが、違いますか?(笑)

舌の力を抜いて、上あごに舌先をくっつけてスタンバイ、
後は、お腹から一気に息を送ると るるるる となります。

巻き舌も人それぞれですね〜^^
まる。
2011/05/28 21:52
おじゃまします
スペイン語でも必要なので ちょうど練習してました
舌を 口の中に 入れた状態でなら 出来るのですが
舌を 口から出すと できません
舌を口から出して れろれろれろ〜って出来る方もいますよね
ちなみに とろろこんぶで練習してます
フィンランド語やロシア語でも巻き舌が必要とは
知りませんでした 練習します もっと 巻けるように
きなこ
2011/05/29 05:10
ayumiさん、コメントありがとうございます〜^^。

>やらなきゃできない。ってことなんだろうな〜と思いました。
きっとそういうことなんでしょうね〜^^。
日本語には巻き舌の必要がないので、外国語でも学ばない限り、巻き舌を練習するチャンスもないし、練習しようとも思いませんものね。

もしかして、タガログ語にも巻き舌の発音があるんじゃないですか?
ayumiさんは小さい頃から、タガログ語に親しんでいたから、自然にできるようになったのかもしれません。

でも不思議なもので、一度できるようになると、何年もやっていなくても、ほんの少し練習するだけで、すぐまたできるようになるようです。自転車と同じですね^^。
うさぎ
2011/05/29 23:08
まる。さん、コメントありがとう〜!

>昔、演劇部に所属していて
え〜! 演劇部?!
またまる。さんに関する新事実が・・・(笑)。

>巻き舌は基本、腹式呼吸→腹筋
え! それは考えたことなかったです。

・・・あ、でもそうかも。いまやってみたら、確かにちょっと腹筋使うかも・・・

・・・てことは、巻き舌って、筋トレにもなるかしら?
わたし、このおなか、どうにかしたいんだけど・・・^^;。
巻き舌痩身術とか^^。
うさぎ
2011/05/29 23:14
きなこさん、コメントありがとうございます〜^^。

>舌を口から出して れろれろれろ〜って出来る方もいますよね
えーーーーー!!
そんな人がいるんですか!!
それはすごい!

・・・いま試してみましたが、一生ムリ!ってカンジ^^;。

>とろろこんぶ
あ! これ、わたしもやったことある気がする〜!
30年前に。懐かしい〜^^。
うさぎ
2011/05/29 23:19
うさぎさぁぁん!!ズドルルルルラーストヴィーチェ!!
以前の記事に失礼します!
今日、生まれて初めて巻き舌ができました(> <)!!

この記事を読んでからずっと練習していたのですが、上手くいかず、でも「必ずできるんだ」って信じて頑張りました(笑)
職場の人達にも舌の位置や力加減などコツを教えてもらい、日々練習^^
やっっっと!今日出来るようになりましたー!!!
メチャメチャ嬉しい ^^ ♪

巻き舌ができなかった私が上手く発音できないから、と後回しにしていた「やりかけの外国語」達を今すぐやりたくて仕方ないです(> <)!

「練習すれば出来る」って教えて下さって本当にありがとうございました^^!!
Qum
2011/06/08 19:51
わ〜! Qumさん、おめでとうございます〜〜!!
それに、記事がお役に立てて、本当に嬉しい〜〜^^!

これできると、ロシア語でもなんでも、な〜んかもっともらしく発音できて、いいですよね(笑)。

それに、自転車と同じで、一度できるようになりさえすれば、定期メンテナシでも大丈夫みたいです^^。

しかしQumさん、ハングル検定とドイツ行きの準備で、ただでさえお忙しかったと思うのに、巻き舌の練習までしていただなんてーーーーーー!!
もお、びっくり!!

嬉しいご報告、ありがとう^^。
うさぎ
2011/06/09 17:13
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