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zoom RSS 赤ん坊も楽じゃない

<<   作成日時 : 2017/07/30 09:35   >>

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 「赤ちゃんのように自然に言葉を覚える」という学習法があります。体系的な文法学習はせず、ただひたすら対象言語を大量に読み聞きすることで、自然に規則性を学んでいく、という方法です。

 しかし今回、Duolingoの英露コースを使い、学習初期の段階で大量の文を読み聞きし、規則性が自然に身につくかどうか試してみたところ、この方法オンリーでいくのは相当難しそうだぞ、という見通しを得ました。


大人はせっかち

 では、なぜ赤ちゃんのように自然に文法を習得する難しいのでしょうか。

 第一の理由は、大人はせっかちで、そんなに待てない、ということ。

 ネイティブの子どもが2語文を話すようになるのは、2歳の終わりから3歳くらいです。「あっ、ブーブだ!」、「これ、おうち?」などと言い出すまでに、3年かかる。

 でも大人は、Вот машина.、Это дом?に三年かけてはいられない。そのくらい、ロシア語を習い始めたその日から言えるようになりたいじゃないですか。

 そこが赤ん坊とのまず大きな違いです。


優先順位の問題

 うまくしたもので、赤ん坊が最初に覚える(覚えざるをえない)言葉というのは、活用がなく、平易にできています。

 たとえば、どこの国でも、どこの家でも、赤ん坊がたいて最初に覚えなくてはならないのは「禁止」。「ダメ!」。ロシア語で言えば、Нельзя. 活用がなくてラクですよねえ。

 つぎが「はい、どうぞ」かな。Вот, пожалуйста.これも活用がない。

 続いて、身近な人やモノの名前。「ママ」とか「ブーブ」。мама、машинаなど。指し示すだけならロシア語でも格変化ナシ。

 形容詞は一語の感嘆から入る。「おいしい」「すごい」など。вкусно、прекрасно。これも一言だけなら格変化要らず。

 動詞は命令形から入る。「ちょうだい」「おいで」など。Дай.、Иди. 命令形というのはだいたいどの言語でも動詞の活用形の中で最も短く簡単に出来ています。赤ん坊は、その一番簡単な動詞から入る。

 一方、第二言語習得での教材はたいてい一人称もしくは三人称単数現在の活用から入ります。大人の場合は人によりニーズは様々で、赤ん坊の成長過程のように一様ではないから、無難なところをとってそうなるわけですが、一番簡単なところから入れないのはけっこう辛い。

 大人が子どもや赤ん坊に話しかけるときには、その言語の難しい部分には極力触れず、シンプルに伝えます。たとえば日本語の場合「てにをは」が難しいと分かっているから、大人が子どもに話しかけるときは「てにをは」を省いてしまいます。「スープ、おいしいねー」という感じに。

 では日本語学習中の外国人に話しかけるときはどうでしょうか。文の最後に「だね」だの「ねえ」など余計なものをつけず、「このスープは美味しいです」と言ったほうが親切なんじゃないかな。日本語学校で習った文法にきちんと当てはまるように。

 母語と第二言語は現実問題として、このように学び順が違うわけです。


圧倒的な量の差

 Duolingoで一番きつかったのは、「何が規則で、何が例外か」が分からなかったことです。

 たとえば、「〜で」というとき(前置格)、ロシア語の名詞は、最後がеになるらしい。в школе(学校で)、на столе(テーブルの上には)、в парке(公園で)が含まれる例文がたくさん出てきたから、そういう規則があると想像しました。

 ところがв лесу(森の中で)、на аэропорту(空港で)、на мосту(橋の上で)、в саду(庭で)といったу終わりの場合もある。

 だから大混乱。悪いことに、「〜へ」というとき(対格)の場合はв школу(学校へ)となる場合もあるものだから、それと混同し、もうわけわかりませんでした。

 実は前置格がуで終わるのは単に例外だったのですが、よく使われる単語ほど、例外が多いことが混乱を招きました。

 動詞だってそうです。よく使われる単語に限って、例外的。勝手気ままな活用をする。食べる(есть)とかね。そういう頻出動詞の活用から規則性を見出してしまうと、とんでもない活用表が頭の中に出来上がってしまう。

 目立つものほど不規則というのが意外な盲点。文法規則というのは多数決で決まりますから、文法規則を知るには、目立つものが目立たなくなるほどに多くの実例に触れる必要があるわけです。

 つまり、ネイティブの子どものような学び方をするには、Duolingo程度の量ではまだまだ全然足りない、ということ。もしそういう学び方にこだわるならば、もっともっと半端ない量をインプットしなくてはならない。


どちらが良い悪いではない

 大量のインプットから帰納的に文法を推測するのは、わたしが好きなやり方です。それ自体は決して否定しない。今後もこのやり方を続けるつもりです。

 ただ現実問題として、それ一辺倒で行くのはけっこうきついということ。分からないときには、手っ取り早く辞書や文法書で調べちゃったほうが話が早い。


 「赤ちゃんのように自然に」というと、なんだかとっても良いことのように思えますが、このピュアでナチュラルなイメージに捉われすぎるとソンをします。

 逆に、「赤ちゃんと大人とは違う」と思いすぎてもソンをすると思う。赤ん坊だろうが大人だろうが、同じ人間。母語だろうが第二言語だろうが、言語習得であることに変わりはない。赤ん坊が言葉を覚えていく過程から学べることはたくさんある。


 どちらが良い悪いではなく、要はバランスの問題。帰納的アプローチと演繹的アプローチを適宜組み合わせ、自分にとって一番お得なところを取っていきたいと思います。





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