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zoom RSS 「しっかり学ぶトルコ語」A.ギュルベヤズ

<<   作成日時 : 2017/07/08 00:01   >>

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 最近ロシア語テキストを探しに、本屋の語学書コーナーをよく徘徊しています。そこで見つけたのがこれ、アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ著「しっかり学ぶトルコ語」です。



 表紙に「文法や発音からしっかり学びたい人の入門書」とあります。確かに出てくるのは覚えてソンのない基本的な単語ばかり(単語数約1200)だし、基礎的なところからしっかり解説しているので、難しくはない。でも入門書向きではないかなー。旅先でちょっとトルコ語を使ってみたいという人向けではない。なぜかというと、中身は文法表の嵐で、楽しげではないからです(笑)。


 でもじゃあこの本はどう使うのがいいかというと。それはもう、文法書リファレンスとして使うのが最適だと思います。品詞ごと、格、時制ごとに纏まっているので、分からないことがあったとき、読みたいページがすぐ見つかる

 また、混同しやすい用法が並べて書かれているので、どこがどう違うのか、すぐ見比べられる。こーれは便利! 分かりやすい!

 しかも読みやすい! 母音調和の違いもeとiでスッキリ統一。「母音調和に注意しましょう」という警告が一応ついているだけで、ゴチャゴチャしてない。表が見やすく、スマートですっきり。中途半端に練習問題とかが付いていないところもいい。

 いやー、こういう文法書を待ち望んでました。すでに昨年の4月に出ていたようですね。わたしとしたことが、全く気づかなかったわー。勝田茂著「トルコ語文法読本」(過去記事参照)以来、実に30年ぶりに出たリファレンス的に使えるトルコ語文法書だと思います。

 文法網羅度は勝田文法と同じくらい。価格は半額。製本は無線綴ですが糊が固くなく、割合開きやすい。紙が薄手で柔らかいので、開いておいても勝手に本が閉じない。

 文法の網羅度で言うと、東外大のテキスト(過去記事参照)のほうが上かもしれませんが、なにしろ東外大のテキストはリファレンスとしては全く使えない。付箋貼りまくってみたけど、やっぱりダメだわ。順番がメチャクチャで、ラビリンス状態。知りたいことがどこに書いてあったか探す手間が馬鹿にならず、ストレスフルなことこの上ない。

 次にトルコ語をやるときはこの本をベースに東外大のテキストとリンクさせて補っていく、という方式でいきたいと思います。


著者はトルコ人

 アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズという名前から分かるとおり、この本の著者はトルコ人です。それでなのかどうか、トルコ語文法の捉え方は、日本人が書いたトルコ語テキストと比べるとちょっとユニークです。

 ・・・いや、トルコ語の場合、日本人が書いたテキストも名称から何からバラバラで充分カオス状態ですが^^;、それと比べてもまた一段とユニークでした。

 スタンダードな文法理解に慣れた人には、ちょっと違和感があるかもしれません。でもわたしはむしろそれが面白かった。

 もしかしたらこれって、トルコ人が習うトルコ語なのかも。日本人が学校で習う国文法と、外国人が日本語学校で習う日本語文法が異なるように、アラビア語文法もアラブ人が習うのと外国人が習うのとでは異なりますが、この本もトルコ人のためのトルコ語文法に基づいているのかもしれませんね。そうだったらいいなあ〜。

 ではどこがどうユニークだったかというと。

格は8格

 まず、格は8格。

 主格、対格、与格まではいいとして、-deに「処格」という名前がついている。-denは「奪格」。-inが「所有格」。-leを二つに分けて「共格」と「具格」。そして一番新鮮なのが、いわゆる「所有接尾辞」つきの被修飾名詞を「属格」としていること。

 勝田文法では-inに「属格」という名前がついているので、ちょっと紛らわしい。でも言われてみれば確かに、-inがついているのは属しているほうではなくて所有しているほうなんだから、「所有格」のほうが名前として正しいかも。

 あと、「私の車」と言いたいとき、「benim arabam」「arabam」と表現できることはどの本にも載っている。しかし「benim araba」と言える(p.88)とは、この本で初めて知りました。他のテキストにはまず載っていない表現だと思います。

 え、マジ?!と仰天し、思わずググってみたら(疑り深い(笑))、このページに以下のような説明がありました。(和訳はうさぎ):
People widely use this manner when they want put a (emotional) gap between themselves and persons/objects under mention. It does't involve disrespect towards the person/object but slight independence from it. When it is said for a nonhuman; indicates sayers' unneediness towards the object.
(この言い方は、話題にしている対象物・対象者と自分との感情的な距離感を表現したいときに広く使われます。その人或いは物を見下しているわけではないけれど、若干距離を置いている感じ。人間以外のものに対して使われるときは、話者がそれを不要と感じていることが見てとれます。


 あと3つある名詞+名詞の違いがすごく分かりやすかった。

çocuk doktor 子供医者(子供である医者)

çocuk doktoru 小児科医

çocuğun doktoru 子供の医師(小児科であるか、否かを問わず、「子供のものである医師」や「子供がかかっている医師」という意味で)

 こういう説明が今まで欲しかった! かゆいところに手が届いた感じ! この名詞+名詞の3パターンは図も交えてかなり詳しく説明してあり、非常に分かりやすかったです。


動詞の時制は二つ

 動詞に関しては、まず
トルコ語では、日本語と同様に、文法的時制は1つしかありません。それは過去形です。
という一文に度肝を抜かれました。

 トルコ語といえば、動詞の活用形が鬼のようにあるのに、時制が一つってどういうこと? しかも日本語まで道連れ? そうなの? 日本語ってそうなの? ネイティブだからわかんないわ。

 この本によれば、-diは過去形だけれども、-iyorとか-ecekは「進行形」「未来形」ではなく、「進行相」「未来相」だというのです。そして-meliは更にそれとも違う「法性」の一種、「妥当性」であると。

 ・・・何がなんだかよく分かりませんが、でも言われて見れば、-diだけなんだか特殊だし、-mişも独特。-mişmişと二つ繋がることもあるもんね。そうか、あれは「完了相」としての-mişと、「過去時制」としての-mişが繋がったものであったかと考えると、なんとなく納得がいく。


違いが詳しい

 名詞化-dikと-meの違いがメッチャ詳しいのは嬉しかったです。これはもう、勝田文法でもいまいち分からなかった部分。この本でだいぶスッキリしました。

 この本は言葉で説明するより、まず用例をたくさん並べてしまい、
さて上の3つのグループを見ながら、それぞれのグループの見分け方の特徴を発見・理解しましょう。
と、読者に投げかけてしまうんです。

 そうすると、アラ不思議。言葉で説明するのは難しいけれど、確かに「こういうときはこう」っていう傾向みたいなのが分かる。

 この本の著者はトルコ語スクールをやっていたことがあるので、いくら説明しても分かってもらえないという場面に遭遇しているのかもしれません。例を出して自分で理解してもらったほうが話が早いと、経験から分かっているのかも。

 とはいえ、言葉でも説明しようと、動詞に「月動詞」「太陽動詞」という名前をつけて一生懸命説明してくれています。でもこの辺は正直、読めば読むほど分からなくなっていくという・・・^^;。やはり習うより慣れろであります。

 ちなみに、形容詞化も-enと-dikの切り分けがすごく詳しく書かれていて分かりやすいのですが、「父親が医者である友達」みたいな用法がないのが残念。

 あと「これは知ってよかった!」と思ったのが、-meli、zorunda、lazim、gerekの強制力の違い。

@ -meli → A gerek/lazim → B zorunda の順に強制の程度が弱いレベルから強いレベルへと上がるのだそうで。

 これはほんと良かったです。これまでなんとなく、-maliが一番強く、lazimが一番弱いという気がしていました。勘違いが修正できてよかった。

 英語でもそう。You'd betterが日本語で言うところの「〜したほうがいい」にあたる弱めの助言にあたるのかと思っていました。でも違うんですね。shouldのほうがまだマイルド。こういうことはぜひ本に教えてもらいたい部分。親に「ああせい、こうせい」と言われて育つネイティブの子どもたちとは違い、大人の外国人が自分で分かるのはなかなか難しいので。


言葉は単語

 この本のあちこちに
言葉は単語です! Dil kelimedir!
と書かれていました。全くその通りだと思う。

 しかもただ「単語をたくさん覚えましょう」というのではなく、造語法をたくさん教えてくれるところが良いです。単語同士が繋がって、広がっていく感じがする。




 ああ、本当にこんな本が出ていたなんて・・・! それに一年も気づかずにいたなんて・・・!! もったいないことをしたなあ!

 今けっこうロシア語にハマっているのだけれど、思わず2日、ロシア語そっちのけでトルコ語に没頭してしまいました。


 ※ そいえば最近、本家のほうにトルコ語テキストレビューを作成しました。3年ぶりに読んだ入門書を纏めました(特に良書と思えるもののみ)。





 



 

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