「ボクのトルコ語探検」 南雲堂

 「ボクのトルコ語探検」という本を読みました(3月6日)。

 30代半ばにして国費留学生としてトルコに10ヶ月間滞在し、トルコ語を学んだ体験を綴った本でした。発行は25年前、トルコに留学したのはさらにその10年前。つまり35年前の体験記です。

 日本を発つとき知っていたトルコ語はギュナイドゥン(おはよう)の一語だけ。トルコでは1日8時間の猛勉強。でも犬が怖くて(?)衝動的に日本に帰国。本を記した時点では「今はもうトルコ語はほとんど忘れてしまった」(p.6)そうで、熱意があるんだかないんだか、よく分からない^^;。

 そもそも、留学から10年も経ってからこの本が書かれた目的は何なのだろう? 体験がメインにしては、文法や単語説明が多いし(※ただし間違いも多い)。きっと「留学体験を読ませつつ、単語のひとつも覚えさせてしまおう」という教育的配慮なのかな?と思って読んでいましたが、最後の一文にこう書かれていました。

「更にトルコに関心をもつ人が増えてくれるといいのになぁ」と虫のいいことを考えているのである。(p.161)


 え!! 「トルコ語」ではなく、「トルコ」?!

 それは気づきませんでした。確かにトルコやトルコ人も出てきますが(そりゃトルコ留学だもの)、どちらかというとネガティブな記述が多く、厳戒令下に外出して憲兵にしこたま殴られた友人の話とか、下手くそなトルコ語をからかわれたりとか、これを読んでトルコに好印象を持つのは難しい気が・・・^^;。



 ただ、共感させられる部分も多い本でした。

オスマン帝国の名残なのかもしれないが、ここの人達には「謙虚」という言葉は存在しない。(p.77)

 「トルコの山は登るのが難しくて、六人も死んでいるんだ」
と深刻そうな顔をして言う。私も深刻な顔をまねて
 「実は日本でも多くの人が遭難するので社会問題になっているのだ、なにせ谷川岳では五〇〇人もの人が死んでいるのだから」
と言うと、ものすごく悔しそうな顔をする。(中略)こんなことで張り合ってもしかたがないのだが、彼らはなんでも一番でないと気を悪くするくせがある。(p.135)

 こうした記述は、自分もトルコで感じたトルコ人の印象を裏付ける気が。


 外国語習得に関しても、共感できる部分がありました。

相手がなにか言った時にはすぐに反応することが会話では一番大事なことではないだろうか。未来形は語尾になにが付くんだったか考えるより、原形のままでもすぐに反応したほうがスムーズに会話が続いていく。(p.138)

質問に答える第一声はどんな人でもそんなに間をおくわけにはいかない。(p.140)

 これはまさしくわたしもそうで、会話の勢い優先、文法は二の次。返答のスピードを重視するあまり、言葉より先に身振りで答えてしまい、ハイとイイエはほとんど言うチャンスがなかったり。でもそれでよかったのかなあ?


 一番共感したのは、ジェットコースターのような、著者の気持ちの浮き沈みです。

「自分には言葉の才能はないのだ。とうてい地理学者になどなれっこない」(p.155)
とあきらめの境地に陥っていたのに(外国語ができないと、なぜ地理学者になれないのかは不明)、トルコ語が軌道に乗り始めると、

「もしかすると私は語学の天才なのではないだろうか。このままいけば半年でトルコ語の権威になれるのではないか」(p.65)
と有頂天になる。ところがナチュラルスピードで喋られた言葉が全く理解できなかったことにショックを受けると

こんなにもトルコ語がわからないなんて、と思うだけで言い知れぬ恐ろしさを感じてしまったのである(p.110)
とまた失意のどん底の突き落とされる。ところが旅に出てトルコ語が案外通じると、

「もうこれだけできれば矢でも鉄砲でも持ってこい」」(p.142)
と、またしても有頂天になるのだから、忙しい。

 でもこういう気持ちの浮き沈みは、自分もそうなので、すごくよくわかる。なぜそういうことになるかというと、たぶん、外国語の進歩はなだらかなスロープのようではなく、階段状だからなのでは、と思います。

外国で語学を勉強してきた友人達に聞いてみると、たいていの人が日常生活に慣れてきた頃に進歩が一時的に止まると言う。そのような停滞期がしばらく続いたあとに、再び上昇をはじめるようだ。(p.145)
と、この本にも書かれていますが、停滞期と上昇期が交互にくる。しかも上昇期は短く、アッという間にバブルが弾けて、長い停滞期がやってくる。外国語に限らず、何でもそうなのかもしれませんが、このグラフに連動して、気分も浮き沈みを繰り返す。

 ああ、みんな同じなんだな、って思いました。

 ちなみに著者はこの方。この紹介文も好き。戸山高校、闊達だなあー。



画像
ベリーダンス。


 


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 5

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い

この記事へのトラックバック