英語学習7つの誤解

 最近、カナダの多言語話者スティーブ・カウフマン(Steve Kaufmann)のyou tube動画をよく見ています。

 この方、 オンライン学習ツールLingQの創設者です。・・・って、わたしは使ったことがなく、詳しいことは知らないんだけど。

 you tubeのカウフマン氏のチャンネルには、LingQの紹介のみならず、外国語学習方法一般についての談話がたくさんあがっています。その数、数百。英語のみならず十数言語で発信されており、そのポリグロットぶりがよく分かります。

 日本語で発信されている動画もたくさんあります。日本に9年間住んでいたことがあるそうですが、この日本語が上手いんだわ。非常に折り目正しい、きれいな日本語です。発音も自然。細かい間違いはありますが、外国人が話す日本語としては、全く申し分がない。わたしもこんなふうに外国語が喋れるようになりたい。



 前置きが長くなりましたが、最近見たのが、表題にあるコレです↓


英語学習7つ誤解

 これ、日本人によって書かれた同名の本が下敷きになっています。・・・といっても、カウフマン氏はこの本を読んだことはないそうです。その本に書かれた「7つの誤解」の要点をウェブから拾ってきて、ご自身はどう考えるか、動画の中で述べているだけ。

 その7つの誤解とは、以下の7つです。

1.英語学習に英文法は不要である
2.英語学習は早く始めるほどよい
3.留学すれば英語は確実に身につく
4.英語学習は母語を身につけるのと同じ手順で進めるのが効果的である
5.英語はネイティブから習うのが効果的である
6.英語は外国語の中でもとくに習得しやすい言語である
7.英語学習には理想的な、万人に通用する科学的方法がある

 本の著者はこれらを誤解だとしている。それに対し、カウフマン氏は自分がどう思うかを動画で述べているわけですが、これが非常ーーーーーに分かりづらい;; 少なくともわたしは、一度ではサッパリ分かりませんでした。

 おそらく、否定の否定だからだと思う。「この本を書いた人はそうじゃないというが、わたしはそうじゃないと思います」なんて言われると、「ええええ????? つまりどっち?」って感じ。

 念のために言っときますが、日本語なんですよ。外国語じゃなく。でもさー、この話を一発で理解できる人がいたら尊敬しちゃう。わたしにはもう無理><って感じでした。

 そこで二度目は↓のようなリストを作って見ることにしました。

項目
1英語学習に英文法は不要である×
2英語学習は早く始めるほどよい×
3留学すれば英語は確実に身につく××
4英語学習は母語を身につけるのと同じ手順で進めるのが効果的である×
5英語はネイティブから習うのが効果的である×
6英語は外国語の中でもとくに習得しやすい言語である××
7英語学習には理想的な、万人に通用する科学的方法がある×

 :「英語学習 7つの誤解」の著者、大津由紀雄氏の意見。これらはすべて誤解である、と主張。

 :スティーブ・カウフマン氏の意見。


 スティーブ・カウフマン氏の意見の詳細は以下の通りです。

1.○ 不要とは言わないが、最小限にしたほうがいい。

2.○ 無理強いはよくないが、早く始めるに越したことはない。

3.× 留学して進歩するのは10%~20%。どこにいるかより、態度(姿勢)が重要。

4.○ 母語も外国語も覚え方は一緒。要は、たくさんその言語に触れること。

5.○ ネイティブと会話するのが当然一番良い。他の日本人の英語を聞くのは最悪。

6.× 日本人には韓国語やスペイン語のほうがラク。また動機の有無にもよる。

7.○ 頭脳はみんな一緒。人によって何が好きかは違うが、方法は同じ。



 この動画を見たあと、元の本(「英語学習 7つの誤解」)も読んでみました。以下は同書からの引用です。

1.×
おとなになってから、外国語を身につける場合には、むしろ、そのことばがどんなしくみを持っているのかを意識的に身につけるほうが効率がよく、また、より多くの知識を得ることができる場合が多くあります。そこで登場するのが「文法」なのです。(p.38)
但し、
学習英文法は深追いしてはいけない(p.53)

2.×
英語学習の臨界期は実証されていない(p.82)
早期外国語教育の対象として、英語という特定の言語だけを選ぶことによって、英語はほかの言語よりも優れた言語であるという印象を子どもに与えてしまってはなりません。(p.84)

3.×
英語学習に対する留学生自身の積極的な姿勢があってのことです。(中略)もし留学を決意するなら、はっきりとした目的意識をもたないと意味がありません。(p.99)

4.×
「英語を母語として獲得するのと同じやり方」で英語を外国語として身につけるという方法は、現実的ではない。(p.105)

5.×
英語のネイティブ・スピーカーであることイコールよい英語教師ではない(p.112)
おとなの英語学習にあっては、学習者の母語である日本語を使っての指導や解説が役立つ場面が少なくありません。(p.116)

6.×
日本語の話者にとって、英語の発音はかなりやっかいです。ドイツ語やスペイン語、さらには、韓国語などの発音に比べれば、苦労が多い(p.130)
日本語とかなり異なった仕組みを持っている英語よりも、韓国語のほうがずっと学習しやすい(p.132-3)

7.×
もし、そんな「王道」が存在するなら、それが広く知られるようにならないはずがなく、存在するかしないかが問題となるからには、おそらく、そんなものは存在しないのだろう(p.134-5)
学習の方法は人それぞれ異なるのです。要は努力であり、結局は、その努力をいかにして継続させることができるかということに行き着く(p.139)




 最初にカウフマン氏のyou tubeを見たとき、この7つの項目には違和感がありました。意味が曖昧だし、そんなこと思ってる人いるの?という項目もあるしで、こんなの真面目に論じる意味があるの?と思った。

 でも何であれ、こういうたたき台があると、それをきっかけに意見の違いがはっきりしますね。○か×かで答え(△はナシ)、それに対して細かい意見を述べるのは、考え方をはっきりさせる一つの手段にはなるのかな、と。

 そこで、自分もやってみました。

1.○ 英文法は必須だが、英文法学習は必須ではないと思う。

2.○ 遅くてもダメとは思わないが、早いに越したことはない。

3.× 「絶対」とか「確実」という文言が入っている時点で正誤問題は×が鉄則。

4.× 母語の習得には10年かかるが、外国語の習得にはショートカットがある。

5.× ネイティブかどうかより、日本人でないことが大事。    

6.× むしろ英語は外国語の中でもとくに習得しづらい言語だと思う。

7.○ できるようになりたいことをたくさんやる以外に方法はないと思う。


※ 4/29追記 : んー、やっぱりちょっと違うかな?





 最後に、両氏の最も異なると思われる点を一つ。

努力をしないで(中略)、ただただ楽しむだけで外国語が身につくような方法は存在しないのです。
(大津由紀雄著「英語学習 7つの誤解」p.139)

楽しくないと続かないし、楽しくないと頭脳がなかなか覚えない(中略)苦労しない形で勉強すれば、一番効果的です。
(カウフマン氏の動画「効果的言葉の勉強。まず苦労しないこと!」より)

 この点に関しては、わたしはカウフマン氏に賛成。

 日本人は努力は報われるべきだと思っていて、楽しいばかりじゃ身につかない、楽して身についたらズルいと思う傾向にあります。

 でもわたしはそれ、違うと思う。むしろ過去の経験では、イヤイヤながらやったことは身につかない。カウフマン氏が言うとおり、楽しんでやるかどうかがカギだと思っています。



画像
横浜公園のチューリップが今満開です。




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    Excerpt:  先日取り上げたカウフマン氏のチャンネルに、また新しい動画がアップされていました。 Weblog: うさぎメモ@多言語に夢中 racked: 2016-04-26 07:04