ニューエクスプレス インドネシア語

 ニューエクスプレス インドネシア語を読みました。

 昨年の秋に出ていたようです。CDエクスプレスシリーズが廃刊になり、ニューエクスプレスシリーズにリニューアルされて久しいですが、なぜかインドネシア語はなかなか出なかった。先に出た単語集を早々と買い、テキストはまだかまだかとずっと待っていたのに、いざ出たら一年近くも気づかなかったとは。いかに最近語学へのテンションが落ちていたかわかるなあー。

 ところで今年はニューエクスプレスプラスに順次改版。東京オリンピック向けでしょうかね、従来のニューエクスプレスの最後の方に8ページくらい追加されているようです。インドネシア語も早速プラスに改版されるんだろうか?


リニはどこの出身ですか

 それはそうと久々のインドネシア語。新鮮でした。

 たとえばこの会話:
Kenji: Rini tinggal di mana?
(健治:リニはどこに住んでいますか?)

Rini: Saya tinggal di asrama dekat kampus.
(リニ:私はキャンパス近くの寮に住んでいます)

Kenji: Rini berasal dari mana?
(健治:リニはどこの出身ですか?)

Rini: Dari Jakarta.
(リニ:ジャカルタ出身です)
(第2課より)

 この会話のどこが面白いかというと、代名詞の代わりに相手の名前を使っていること。「あなたは」ではなく「リニは」と尋ねている。

 これ、英語だったらありえない会話です。もし英語で
Where does Rini live?
(リニはどこに住んでいますか?)
と聞いたとしたら、その「リニ」という人物は確実に第三者。

 もし相手がRiniという名前ならば、
Where do you live, Rini?
(リニ、あなたはどこに住んでいますか?)
という尋ね方になるでしょう。


 では日本語はどうか。

 ――日本語ならありえます。というかむしろその方が普通でしょう。

 上の文の和訳は「リニ」という呼び捨てと丁寧語のミスマッチに若干違和感がありますが、「リニさんはどこに住んでいますか?」もしくは「リニはどこに住んでいるの?」だったらごく普通。

 日本語では二人称代名詞の使用が避けられる傾向にあります。家族や親友などごく限られた関係性の場合、相手の名前を知らない場合など例外はありますが、二人称代名詞の使用はなぜかちょっと失礼な感じがして、実はあまり使われない。

 店員が買い物客に何かを尋ねる時。「あなたは・・・ですか?」とはまず聞かない。主語をはっきりさせる必要があれば「お客さまは・・・ですか?」でしょう。

 幼い男の子に話しかける場合でさえそう。「君何才?」より「ボク何才?」と聞く人の方が多いでしょう。二人称代名詞の使用を避けるため苦肉の策として「お客さま」「ボク」という仮称を編み出すのです。

 インドネシア語にも二人称代名詞はありますが、
 目上あるいは社会的地位の高い人については代名詞のAndaをあまり使うべきではありません。そのかわりとして男性には「父」を意味するBapakを、女性には「母」を意味するIbuを使います。
とのことです(p.30)。


 インドネシア語は妙に日本語に感覚が近いところがあって、それが面白いと思っていたのですが、この件についてはすっかり忘れていました。それとも気づいていなかったのか??

 「ほんとにそうだっけ?」と思わず昔読んだテキストをひっぱり出してチェックしちゃった(疑り深い(^_^);)。結果、他の本でも概ねそうなっていました。


コニー、お家に帰りたい

 その再読で、また面白いことを見つけました。ヒッポファミリークラブの「ソノコ」です。

 幼いコニーが英語版では以下のように言います。
Mommie... I wanna go home now


 日本語版では
ママー、お家に帰りたい
となっています。

 ここの部分がインドネシア語版だと
Bu... Connie mau pulang
になっていました。

 「ママー、コニーお家に帰りたい」という感じ。日本でもよく幼児が自分の要望を伝えるのに「〇〇ちゃん、おやつ食べるー」と言ったりしますよね。日本語と同じだ!

 逆に英語ネイティブの子は
Mommie... Connie wants to go home now*
と言ったりしないのかな、と気になりました。

 だって日本では「〇〇ちゃん、おやつ食べる?」と聞く。それに対し「〇〇ちゃん、おやつ食べるー」と子どもが返答するのはむしろ自然のなりゆき。でも英語だったら名前を主語にして相手にものを尋ねたりしませんものね。

 もし英語ネイティブの子供がそういう言い方をしないのであれば、これは単に言語的な問題ということになる。もし英語でも子供が同じような言い方をするとすれば、子供はまだ自分と第三者の区別がついていないとか、そういう認識論的な問題ということになりますね。


 いやー、久々のインドネシア語、面白かったです。他にも文語と口語の違いとか、nyaの使い方とか、面白かったーー!


人称代名詞の使用頻度は言語によりけり

 ちなみに、人称代名詞の使用頻度は、ことほど左様に言語によってけっこうまちまちです。

 英語やフランス語のように動詞の人称変化が廃れかけた言語は主語を省略できない仕組みになっており、人称代名詞を多用せざるを得ない。※ 英語はともかくフランス語は人称変化健在じゃない?と思う方は、規則動詞を口で言ってみてね。一人称、二人称複数以外同じだから。

 一方、スペイン語、ロシア語、トルコ語、アラビア語は、語族は違っても、いずれも主語を省略でき、よって人称代名詞の使用頻度は低い。動詞の人称変化がしっかりしており、代名詞なんか使わなくたって、主語を取り違える心配はないからでしょう。

 そしてそもそも動詞の人称変化などない日本語やインドネシア語では、人称代名詞の使用頻度がさぞかし高いかと思いきや逆に低く、全く違った発想で混同を避ける。そこが面白いと思いました。

 
 ・・・って、脱線はこれでおしまい。さてロシア語、ロシア語!


画像
色違いーー♪




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