五十肩体験記 その2 五十肩じゃない?!

 前回の続き。


もしかして五十肩ではない?!


 夜も眠れぬ痛みで年を越し、ようやく痛みが引いてきたのは1月の中旬か下旬頃だったと思います。だんだん夜眠れるようになり、2月に入った頃には、恒常的に痛むということはなくなっていました。つまり12月初旬の状態に戻ったのです。

 痛むのは、現状では無理な動きをしてしたときだけ。つまり、朝うっかりノビをしたり、無造作に着替えをしたり、ふと遠くのものに手を伸ばしたりしたときだけ。そういうときは床を転げ回るほど痛いのですが、でも恒常的に痛いよりはずっとましでした。
 
 で、痛みで夜も眠れなかったときは、どこが痛いと考える余裕もなく、ただひたすら痛かったのですが、痛みが引いてきたら、具体的に「ここが痛い」というのが特定できるようになりました。

 そして意外なことに、その痛い場所は肩ではありませんでした痛いのは二の腕。上腕二頭筋。ちょうど力こぶのできるあたり。うかつに動いて激痛に襲われ、床をのたうちまわっているとき、右手で庇っているのが、肩ではなく、腕であることに気づいたのです。

 それまでなんとなく自分は五十肩だと思っていて、だから肩が痛いんだと思っていました。でも実際に痛いのは二の腕。気づいてみれば、肩はどこも痛くありませんでした。

 衝撃でした。なぜ今まで痛いのは肩だと思い込んでいたのだろう?

 ーーたぶんそれは「五十肩だ」と思っていたからです。何の根拠もなく。

 でも、腕が痛いということは、そもそも五十肩ではなかったということになります。

 ということは、あの12月にやった「五十肩を治す体操」はまるっきりのお門違いだったわけです。そりゃ悪化するわけだ。


 ショックでもありましたが、それ以上に愉快でした。とんだどんでん返しに笑いがこみあげてきました。あんなに四六時中痛がっていながら、どこが痛いか勘違いしていたなんて・・・。

 そして光明が見えた気がしました。いままでは認識が誤っていたから迷走していた。でも正しい認識を得た今、あとは回復に向かって前進あるのみ!

 これは病院に行かなくては、と思いました。病院へ行って、正しい病名を教えてもらわなくては。


 というものの、病院にいつ行こうか、どの病院にしようかと半月もグズグズと迷っていました。病院だってタダじゃありませんからね。あわよくば病院に行かずに治せないだろうか、と思うわけです。昨年の「バネ指」だって、病院に行かずに自力で治しましたし、二匹目のどじょうを狙ったわけです。

 迷っている間、自力で病名を特定できないかとインターネット上で様々なサイトを渡り歩き、様々な病名を見つけては、自分の症状と照らし合わせました。

 するとある晩「これだ!」という病名に出くわしました。上腕二頭筋長頭腱炎です。「上腕二頭筋の腱が骨と擦れ合い、炎症を起こしている状態」だそうです。

 この病名を得たことで、病院に行かずに済んだかって? ーーいいえ、その逆。病院へ行くモチベーションが逆に急上昇しました。今すぐ病院に行きたくなった。答え合わせがしたかったからです。

 本当に上腕二頭筋長頭腱炎なのか、無性に確かめたくなり、さっそく翌日、近くの総合病院の整形外科に予約なしに飛び込みました。「上腕二頭筋長頭腱炎」という病名が合ってるかどうか知りたくてワクワクしながら診察の順番を待ちました。この答にはかなり自信があり、たぶん合ってるだろうと思っていました。ただ念のため医師のお墨付きがもらいたかったのです。
 


やっぱり五十肩だった?!


 問診票の「どんな症状がありますか」という問いに「二の腕が痛い」と書き、痛む場所を記す人体図には左の二の腕に丸をつけました。

 診察室では医師に「腕を上げたり背中に回したりすると、二の腕が激しく痛みます」と伝えました。五十肩と間違えられては、と思ったので、「二の腕」というところを強調し、右手で左の二の腕をさすって見せました。

 するとまずはレントゲンを受けるように言われました。レントゲン室では技師に「肩が痛むんですって?」と言われたので、「いいえ、二の腕です」と訂正しました。すると「ああ、腕ね、はいはい」というお返事。そしてレントゲンは肩を中心に撮っているいるようだったので、ちょっと不安になりました。でも診察室に戻り、上がってきたレントゲン写真を見ると、二の腕も写っていたので安心しました。


 ところが。

 「典型的な五十肩ですね」と先生。

 「えっ・・・。でも先生、痛いのは肩ではなく、腕なんです」

 「それは肩と腕の筋肉がつながってるから。あなたのは典型的な五十肩。だって腕上がらないでしょ?」と先生。

 「でも上がらないのは腕で、肩は自由に動くんです。ほらっ!」とわたしは肩をグルグル回してみせました。

 「あなたが今動かしてるの、肩じゃなくて肩甲骨だから」と先生。

 「・・・えっ」

 「腕を上げるときに使うのは、肩の筋肉だけじゃないの。半分くらいは肩甲骨が動かしてるんだよ」

 「・・・はあ・・・」 わたしは混乱しました。つい数十分前まで頭の中でシミュレーションしていた展開とまるで違っていたからです。



 「で、どうする? ひどく痛むようなら注射を打つよ。痛み止めも出しますよ」

 「いえ、1か月ほど前までは四六時中痛かったですけど、今痛いのは一日数回なので大丈夫です」

 「そう。じゃあできるだけ動かして」

 「・・・それは、痛くても、ですか?」とわたし。年末のストレッチの二の舞は踏みたくなかったので。

 「そう。痛くても動かして。こうやって右手で支えて左手を上げたり、とにかく動かして。リハビリ科に連絡しとくから、あとはそっちで詳しく聞いて」

 「はいっ、わかりましたっ! ありがとうございました!」

 医師の言葉は重い。あんなに自信があった上腕二頭筋長頭腱炎という病名は早くも過去のものとなり、今度こそ真実を知ったと思いました。

 人間の体って奥が深い! 炎症の場所と痛みの場所が違うことがあるなんて思いもよらないことでした。てっきり痛いところが悪いところだと思っていました。肩甲骨と肩の違いも良くわかっていませんでした。ぶっきらぼうな若い医師の数少ない発言は、医学に不案内なわたしにとって、とても新鮮でした。



 リハビリ科へ行くと「すみませんが、今日は患者がいっぱいです」と断られ、一週間後に予約を入れました。

 でもこの予約、きっとキャンセルすることになるだろうと内心思いました。

 だってそれまでにきっと治るだろうから。

 今度こそ光明が見えた気がしていたのです。


 続く


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