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zoom RSS シュリーマンの言語学習法

<<   作成日時 : 2015/07/24 07:30   >>

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 久々に「夢を掘り当てた人」をパラパラとめくりました。ハインリヒ・シュリーマンの伝記。わたしの小学生時代の愛読書です。小学校4年生くらいの頃かな、この本が大好きでした。

 人生で一番最初に憧れた職業は考古学者、一番最初に憧れた国はギリシャ。どちらもこの本の影響でした。まだ子どもでしたから、具体的にシュリーマンの人生のどの部分に憧れたのか分からず、そういう影響の受け方をしたのかもしれません。

 でもいつの頃からか、シュリーマンと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、考古学者でも、実業家でもなく、様々な外国語に取り組む姿となりました。



 ではそのシュリーマンの外国語学習法とはどのようなものだったでしょうか。この本の元ネタとなったシュリーマンの自伝「Heinrich Schliemann's Selbstbiographie: Bis zu seinem Tode vervollständigt」をあたってみました。(p.14)

Diese einfache Methode besteht zunächst darin, dass man sehr viel laut liest, keine Übersetzungen macht, täglich eine Stunde nimmt, immer Ausarbeitungen über uns interessierende Gegenstände niederschreibt, diese unter der Aufsicht des Lehrers verbessert, auswendig lernt und in der nächsten Stunde aufsagt, was man am Tage vorher corrigirt hat. Mein Gedächtniss war, da ich es seit der Kindheit gar nicht geübt hatte, schwach, doch benutzte ich jeden Augenblick und stahl sogar zeit zum Lernen.

 このシンプルな方法は、まず以下のようなことから成り立っている:
  1.声に出してたくさん読む。
  2.決して翻訳はしない。
  3.毎日一時間をあてる。
  4.興味の対象について常々文章に纏め、書き留める。
  5.それを教師の監督のもと改善する。
  6.前日直されたところを暗記して次のレッスンで暗唱する。

 以上、うさぎ訳。辞書とgoogle翻訳の英訳に助けを借りつつ、読みました。


 久々のドイツ語、自分の訳が合っているかどうか心許ないので、翻訳本も確認しました。

その方法は簡単なもので、まず次のようなことをするのだ。大きな声でたくさん音読すること、ちょっとした翻訳をすること、毎日一回は授業を受けること、興味のある対象について常に作文を書くこと、そしてそれを先生の指導で訂正すること、前の日に直した文章を暗記して、次の授業で暗誦すること、である。
(新潮文庫「古代への情熱」p.31)

 ・・・アラ、わたしの訳と派手に違いますねえ。赤字部分が。

 でも、keine Übersetzungen machtですよねえ? 「決して翻訳しない」じゃないのぉ??


 もう一冊、別訳が出ていたので、これも参照してみました。

このかんたんな方法とはまずつぎのことにある。非常に多く音読すること、決して翻訳しないこと、毎日一時間をあてること、つねに興味のある対象について作文を書くこと、これを教師の指導によって訂正すること、前日直されたものを暗記して、つぎの時間に暗唱することである。
(岩波文庫「古代への情熱」p.27)

 これなら納得。やっぱり「決して翻訳しない」ですよねえ。新潮文庫、keine Übersetzungen machtが、どうしたら「ちょっとした翻訳をすること」になるんだろう?? ほぼ間逆じゃないですか。



 ・・・あ! そうか、kleine Übersetzungen machtと読み違えたのか!

 きっと訳者の想定外のことだったから、読み違えたまますんなり納得してしまったのでしょう。なにしろ翻訳家、強力なバイアスがかかり、翻訳が否定されているとは夢にも思わなかったに違いない。

 翻訳とは、二次創作と見つけたり(笑)。



 しかし19世紀といえば、バリバリ文法訳読法が幅を利かせていたはず。そんな時代に、シュリーマンは自分のやり方を貫いていたんですねえ。

 シュリーマンは遺跡の発掘調査においても、自分の判断を信じ、他の人とは違う場所を掘った人。多数派の意見に迎合することなく、自分の足で歩き、自分の目に映るものを信じた。


 「シュリーマンの学習法」はよく中途半端に引用されます。例えば「あのシュリーマンも音読していた!」みたいな感じ。自説の裏づけとしてよく持ち出される。なぜなら彼は成功者だからです。誰しも成功者の威を借りたがる。

 でも「あのシュリーマンの学習法だから正しい」というような権威主義的な発想はむしろ、シュリーマンから何にも学んでいない気がする。

 シュリーマンは誰もやらないようなことでも、自分がいいと思えば迷わずやった。自分でやり方を見つけ出した。

 学習法そのものよりも、わたしはむしろその「生き方」に惹かれます。




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