益子旅行 その6  工場見学

益子の茶屋「やー、なんかすごい遠くまで来ちゃったね」とチャアが少し不安げに言いました。「ここどこなんだろ?」

益子の茶屋で昼食を済ませたあと絵里珈の前のバイパス通りに沿ってぐる~っと大回りし、つかもと窯の近くまで自転車を漕いできたところです。

「んー、実は宿のちかく。ほら、あそこに益古時計が見えるでしょ」とさほど遠くもないところを指さす母。
「エッ。 ええーーーーー! ほんとだ! 何で~~~っ?! あーもう、何でだろ? すごい遠くへ来たと思ったのに‥。もう、どこ走ってんのか、全然分かんない。‥何でママ分かるの?」
「そりゃ地図見ながら走ってるからでしょう。時々道間違えたりもするけどねー」

ああ、この地図を見ながら走る楽しさを、チャアも早く知るといいのに。地図上で見た地理を目の当たりにしたときの驚き、喜び。それがいつか、あなたにも分かるといいね。



釜工場工場見学お店


つかもとは、益子最大の窯元なのだそうです。確かにここは、広い広い広い~! あっちに工場、こっちにお店、向こうのほうに美術館。真ん中には広大な駐車場が広がっています。共販センターよりもっとずっと広い。きっと休日には観光バスがたくさんやってくるんだろうな。それも分かる気がします。だってここ一か所で作家モノの器鑑賞から工場見学から、陶芸体験から、益子焼にまつわる全ての用が一通り足せるのですから。

工場(「コウバ」ではなく「コウジョウ」と読んでほしい)は、益子一どころか、日本一の釜工場なのだそうで、あたり一面に機械が動く轟音が鳴り響いています。こりゃ家内制手工業の域ではなく、すでに産業革命後の世界だな。民家の庭先で単身、ロクロを回す陶芸家の作品も益子焼なら、大きな工場で大量生産される釜めし用の釜も益子焼。うーん、益子焼って一体何なのか、分からなくなってきました。

一説によれば、今益子で活躍している陶芸作家や窯元の半数以上が、実は益子以外の土地からやってきた人々なのだそうです。土も、益子近辺で産出したものとは限らず、信楽の土を使う人もいると聞きました。城内坂のお店に並ぶ器は、必ずしも益子の窯元のものとは限らず、常滑や信楽の作家モノもあります。陶器市に至っては、全国津々浦々から陶芸作家のみならず、ガラス職人や木工作家のテントが軒を連ねる。「益子」という言葉でくくられるなんらかの共通項が、本当にそこにあるのだろうか? 「益子焼が好き」と言うとき、そんなことを考えます。わたしが好きなのは、本当は何なのだろうな、と。

つかもとには、大きな釜工場のほかに、昔ながらの、いわゆる「生活雑器としての益子焼」を焼く工場もあって、こちらは自由に見学ができます。ちょっと覗いて見ることにしました。

高台削り見学順路の通路からガラスで隔てられた向こう側には、何種類もの釉薬の壺が見えます。しばらく歩くと、ロクロで高台を削っている人の姿がありました。何度も何度も指で叩いて底の厚みを確かめつつ、少しづつ削っていきます。ああ、わたしたちがさっきロクロを回して作ってきた器も、こんな風に丁寧に高台を削り、なめし皮で縁を滑らかにして仕上げられるんだなと思ったら、しみじみありがたいなあと、胸に沁みました。

尤も、棚に山と積まれた素焼きの器はきれいに形が揃っていて、どうみても石膏型を使う機械ロクロで作られたものでした。高台削りは必要ない。登り窯も、温度調節の容易なガス窯に取って代わられ、どうやら今では使われていないみたい。

益子焼を作る工程は栃木教育センターの公開している「栃木県の伝統工芸」に詳しく、その写真や動画は、つかもとの工場で撮影されたものです。とても詳しくて良く分かるので、ぜひご覧あれ!

つかもとの販売店に並べられていたのは、20年以上前、わたしが好きになった益子焼そのものでした。一目見ただけで益子焼だと分かる、いかにも益子焼らしい元祖・益子焼。分厚くて素朴でおおらかで。「ただ、重いのだけが、どうもねー」と思い続けてきた益子焼です。ここから益子焼はいろんな方向に進化してきたのね。軽くなったり、様々な意匠が生まれたり。

ああそうだ。益子焼のキーワードは「素朴」なのかもしれません。素朴で気取りがない、普段着の器。どこ出身の人が作っていても、どこの土を使っていても、機械ロクロを使っていてもガス窯で焼いていても、そこさえ満たしていれば、みーんな「益子焼」?? さすがにちょっと乱暴すぎるかしらね^^;。でも、わたしにとって一番重要なのはきっとそこ。「益子焼が好き」と言うのは、別に益子の地に関係なく、製造工程に拠らず、「素朴で気取りがない、普段着の器が好き」という意味なのです。 たぶん。


カフェKENMOKUさて、今日の夕食はカフェKENMOKUで。ここも、平日の夜遅く(‥といっても8時ごろ)までやっている数少ない食事処です。

実はその隣あたりにJAMU LOUNGEというお店もあって、こちらも夜遅くまでやっているはずなのだけれど‥開いていないような?? ‥よく分かりませんでした。 とにかく益子の夜は暗くてよく分からない。宿で懐中電灯を借りてくればよかった。

また、カフェKENMOKUの、JAMU LOUNGEとは逆隣にもう一軒レストランがあって、そっちは開いている。でもそんなレストランの噂は一度も聞いたことがない。もしかして新しいお店がつい最近開店したんでしょうか? それとも実はこれがJAMU LOUNGEだったのか??(夜だけ別の場所で営業する――そんなことってありえるんだろうか??)、さっぱり分からずじまい。 うーん、どうしてこういうことになるんだろう~? 今回、レストランについてもけっこうバッチリ調べていったつもりだったのに‥。わたしの場合、「なんだかよく分からなかった」という結末を見ることが多い。 なぜなんだー?? なぜなんだ~?!


水カレー


まあとにかく、カフェKENMOKUだけでもわけがわかったのは幸いでした。 とにかく今晩もコンビニ弁当を免れたんだものね。なぜ毎晩コンビニ弁当の恐怖と戦ってるのか、自分でも不思議ですけど。

カフェKENMOKUで照明といえば、天井にむき出しの梁につけられた小さなスポットライトがいくつかのみ。ほの暗い店内です。でも暗いからこそ、見えるものもあるのね。それは「影」です。運ばれてきた水の影が美しかったー。

かすかなライトに照らされた益子焼の器、それはそれで素敵でしたけれど、明るいところでじっくり見てもみたいなあ、と思いました。同時に、たまにはうちも、部屋を暗めにして夕食を食べてみようかな、とも。そしたら、いつもの器がまた違った顔を見せてくれるかもしれないものね。

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